筆者
⾏政システム総研 顧問
榎並 利博(えなみ としひろ)
先日、いつも行くスーパーでアボカドを購入し、セルフレジで精算しようとした。通常の商品はバーコードをスキャンするが、アボカドはバーコードが付いていないのでセルフレジの画面から選択するようになっている。ところがいくら探してもアボカドが出てこない。
店員に自信をもってアボカドのデータが入って無いと言ったら、「アボカドは野菜ではなく果物です」という回答。店員が果物のカテゴリーにタッチしたら、アボカドが出てきたではないか。
アボカドは植物学的には「果物」らしい。このような専門知識がないとセルフレジも使えないのだろうか。しかしちょっと待て、アボカドが置いてあったのは野菜売り場であり、果物売り場ではなかった。店の対応は矛盾しているのではないか?
悔しかったので、後でいろいろと調べてみた。すると、私と同じ経験をした人は結構いるようで、どうも店によって分類が異なっているらしい。同じ系列のスーパーでも、野菜・果物と扱いが違うところもあるようだ。
さらにしつこく調べてみると、イチゴ、メロン、スイカ、バナナ、パイナップルなどは農水省の基準では「野菜」となるらしい。ところが、総務省の家計調査ではイチゴ、メロン、スイカ、バナナは「果物」だという。
こうなると消費者としては何が「標準的分類」なのかわからなくなってくる。各省庁の都合で決められており、一般国民にとっての「標準」とは程遠い。このような話はどこかで聞いたことがあるような・・・。
これを機器のユーザインタフェースとして考えると、利用者に専門知識を使って分類を強いるようなインタフェースで良いのかという問題になる。特に行政の場合は、一般市民に専門知識を使って分類させることは現実的ではない。市民にとって日常的な用語を使いながら、専門的な分類へと誘導していくことが求められるだろう。
ところで、今後の対策をどうすればいいのだろうか。1.も2.も消費者に分類を強いるという意味ではストレスがかかる。3.へと徐々に変化していくのではと予想するが、現実はどうだろうか。
※SNSに掲載したところ思いがけず反響が大きかったので、大幅に加筆してコラムとして掲載しました。後日談ですが、ネットを使うたびアボカドの広告が表示されて辟易しています。少なくともアボカドを育てることに私は関心ありません。