成田空港からほど近い、ブランド米の「多古米」で有名な千葉県香取郡の多古町。人口は1万3,000人あまりで高齢者率が高く、東南アジア系を中心に約500人の在留外国人が暮らしています。多古町役場はDX推進計画を作成し、住民の利便性の向上と業務の効率化を目指す中、その一つの施策として2023年8月より申請書自動作成システム「MAINAPIT-マイナピット-」を導入しました。
「住民票や戸籍、印鑑証明などの書類を発行する際、住民の方には名前・住所・申請理由などを記入していただいていました。高齢者の方の中には、記入場所が分からなかったり、手が震えて記入できなかったりする方もいて、申請書を書く作業が大きな負担となっていました。
私たちもその都度、記入場所をお伝えしたり、記入内容を確認するなど対応してきましたが、5分、長いと10分ほどつきっきりに。住民の方だけでなく、職員にも負担がかかっていました」(鈴木氏)
「特に外国の方は、手書きの文字がとても読みづらく、また名前がとても長い方もいて、判断がつかない場合、在留カードなど他の身分証明書で確認しなければいけないので、より時間がかかってお待たせしてしまう状況でした」(姫岡氏)
多古町では、「書かない窓口」実現のため、数社のシステムを検討。MAINAPIT-マイナピット-に決定した一番の決め手は、ICチップの個人情報を読み取るシステムだったことでした。
「他社のシステムには、運転免許証や在留カード、マイナンバーカードの券面情報を、OCR処理することで読み取るものもありました。いろいろな身分証明書が使えて便利な一方、本人でなくとも使えてしまう危うさを感じていたんです。
もちろん、私たちも目視で身分証明書の顔写真を確認しますが、間違いがないように二重三重の確認がきるシステムにしたいと考えていました。ICチップを読み込むためには、暗証番号を入れる必要があるので、本人確認の一助になります。
昨年度まで本町では、マイナンバーカードの発行業務に奔走。多くの住民のみなさんにカードを取得していただきましたが、『大事に保管しておく』という声もあったんです。職員が大変な思いで交付しているのに、活用されないまま、しまい込まれるのはもったいない。だからこそ、マイナンバーカードを活用できるシステムは魅力でした。カードの申請をおすすめするとき、『申請書の記入がなくなって便利になる』というメリットも伝えることができます」(鈴木氏)
「あとは、システム自体がシンプルなのが良かったですね。タッチパネル操作で、複雑ではない。高齢の方でも、少しのサポートで苦もなく使えるだろうなと思いました」(姫岡氏)
MAINAPIT-マイナピット-を導入してから3か月。導入したばかりですが、すでに手ごたえを感じているそうです。
「住民課の窓口は、常時2~3人が対応。混みあってくると、後ろで事務をしている職員も対応する流れです。マイナンバーカードの発行手続きが一段落したこともありますが、MAINAPIT-マイナピット-を導入してから、窓口の混雑は落ち着いている状況です。
もちろんただ機器を設置するだけではなく、ご案内・誘導ができる職員を配置。そこで1人分の人員は割かれてしまうのですが、以前のように個別に申請書の書き方をレクチャーするよりも、圧倒的に対応時間が短くなりました」(鈴木氏)
「住民のみなさんの窓口滞在時間も短くなりましたね。思ったよりも早く手続きが終わって『え、もう終わり?』と驚かれる方や、『便利になったね』と書かないことを喜んでくださる方もいます。」(姫岡氏)
MAINAPIT-マイナピット-の利用率は右肩上がり。8月34.9%、9月35%、10月38.7%と、順調に増加を続けています。
「本町の職員には町民も多いので、実際にMAINAPIT-マイナピット-を使って証明書を取りにくることもありました。そのときに、町民目線で喜んでくれたのがうれしかったですね。今は住民課だけのスモールスタートですが、実際に稼働している様子を見て、他の課も興味を持っているようです」(姫岡氏)
MAINAPIT-マイナピット-導入の検討段階からさまざまなサポートを行ってきたのが、行政システムの担当者。その対応について、細やかさと丁寧さに安心感を抱いていると語ってくれました。
「2回目にお会いしたとき、ご自分の会社のことだけではなく、他社の製品のメリットも教えてくれました。そこから、本当に多古町にとってどうすることが良いかを考えてくれていると感じました。そうした一つひとつの心遣いに『信頼できる方だ』と思ったところです。他にも、いろいろな自治体のDX導入事例なども共有いただけたので、とても参考になりました。
わがままも聞いてもらいましたね。例えば、MAINAPIT-マイナピット-を使うにあたって心配だったのが、マイナンバーカードの置き忘れです。課内でも検討したのですが答えが出ず、行政システムへ相談したところ『マイナンバーカードの取り忘れにご注意ください』という音声案内を入れてもらうことができました。おかげ様で今のところ、カードの置き忘れは1件もありません。また、画面に多古町のマスコットキャラクター『ふっくらたまこ』を入れるなど、細かな要望にも対応してもらえたのは本当にありがたかったです」(鈴木氏)
そう振り返る鈴木氏。今後は住民課として、さらにMAINAPIT-マイナピット-の利用を促進していくといいます。
「町の広報で周知はしていますが、まだ認知の途上にあります。窓口でMAINAPIT-マイナピット-の存在を知り、車までマイナンバーカードを取りに戻る住民の方もいらっしゃいますね。住民課としては、対応する前に『マイナンバーカードはお持ちですか?』と声を掛けて、『カードを持ってくれば便利になる』と周知していきたいですね」(鈴木氏)
急速に普及が進むマイナンバーカード。本製品は、マイナンバーカードを自治体庁舎内で有効活用できる機会を創出するとともに、煩わしい手書きによる申請書作成を自動化し、かんたん且つ効果的に住民サービスの向上を実現することができるパッケージ製品です。